阿寒湖

周囲26㎞、一番深い所が45㍍のややひし形の湖です。

雄阿寒岳が噴き出した時、その噴出物によって阿寒川がせき止められて出来た阿寒湖です。

阿寒湖、湖岸は曲がりくねって変化に富、ほとんど水ぎわまで赤エゾマツ、トドマツ等の原始林に覆われた『森の湖』阿寒湖です。

阿寒湖の中にはオンネモシリ『大島』、ポンモシリ『小島』、ヤイタイモシリ『雑木が茂っている』、チュウルイモシリ『流の早い』、の4つの島が浮かんでいて、このチュウルイモシリの北側にマリモが生息しています。

また、阿寒川となって流れ出す滝口付近にも十九列島と呼ばれる小さな島がその名の通り十九あって素晴らしい景観を見せてくれます。

阿寒摩周国立公園

阿寒摩周立公園は、昭和9年、大雪山とともに北海道で初めて国立公園の指定を受けたところです。

『森と湖」と言えば『北海道観光』のキャッチフレーズですが、阿寒摩周国立公園はその代表と言えましょう。

面積およそ9万ha、屈斜路・摩周・阿寒とそれぞれ趣きのちがう三つの湖を中心とした、火山と湖と森林の原始境です。

屈斜路湖を見下ろす美幌峠の大展望、硫黄山の噴煙とその山麓のハイマツやエゾイソツツジの群落、神秘の湖摩周湖、阿寒横断道路のエゾマツ・トドマツの樹海の深さ、マリモの眠る阿寒湖、そしてその周辺からは沢山の温泉が湧き出し、見どころ多い国立公園です。

まりも観察センター

阿寒湖には、まりもの保護と自然の姿そのままを紹介する目的でつくられた、『まりも観察センター』があります。

まりもの生息地に近いチュウルイ島に設けられたもので、およそ500個のマリモが集められ、その生態を観察することができます。

※なお観察センターへは、遊覧船やモーターボートを利用しなければなりません。観覧料は有料です。

雄阿寒岳

阿寒湖の奥、富士山を小さくしたような山は、標高1370mの雄阿寒岳です。

北海道の火山

阿寒摩周国立公園には、雌阿寒岳、阿寒富士が有りますが、これらの山はじめ、火山の多いところです。

北海道は、那須火山帯、千島火山帯、鳥海火山帯などの火山帯が縦横に走り、主な火山が46もあります。

気象庁では、全国の活火山を、危険性の高い順にA級・B級・C級に分け、その中でもAとB16の山を要注意として、常時観測を続けていますが、そのうち5つは北海道のB級火山です。

有珠山、駒ケ岳、樽前山、十勝岳、雌阿寒岳の5つで、全国の3分の1を占めております。

北海道では沢山の火山が、その周辺の湖・沼・温泉とともに、観光のシンボルになっていますので、いったん噴火したときの被害の大きさは計り知れず、昭和52年の有珠山の噴火を教訓に、改めてその対策が検討されております。

ヒメマスとワカサギ

阿寒湖には、ここが原産のヒメマスをはじめ、ウグイ、ワカサギなどがすんでいます。

ヒメマスは小型で美しい姿をしていて、お刺身、塩焼き、フライ、燻製にと、どのようにいただいても、おいしいお魚です。

ヒメマスは、海から上って来るサケやマスの中で、一番人気のあるベニサケ(ベニマス)と同じ種類で、遠いむかし、何かの関係で海へは下らず、淡水の湖や沼で暮らすようになった魚で、これを陸封種といいます。

そして、産卵期を迎えると、魚体は見事な紅色に変わります。

ヒメマスは、アイヌ語で『カパッ・チェプ』といい、これがなまって『チップ』(アイヌ語で薄いという意味)と呼ばれるようになったものです。

ここ阿寒湖や、チミケップ湖(道東の津別町)が原産で、明治27年、阿寒湖から支笏湖へ移すことに成功したのです。

そして、ここで育った親魚の卵が、8年後、和井内貞行の手によって十和田湖に移されたお話は有名です。

その後、北海道の湖や沼、洞爺湖、クッタラ湖はもちろん、本州の中禅寺湖や箱根の芦の湖、そして、九州の池田湖にも放流されております。

また、ワカサギは、淡水にも海水にも棲む一見ウグイか鮎を細くしたような魚です。

もともとが北日本に棲む魚なのですが、今では、茨城県の土浦をはじめ、南日本の川や、湖にも移されています。

関東方面では『わかさぎ』、山陰では、『あまさぎ』などとよばれ、大きなものになりますと、15cmほどになり、フライや塩焼きにするとおいしい魚です。

阿寒湖畔温泉

阿寒湖畔温泉は、安政5年(1858年)ここを訪れた松浦武四郎の「久摺日誌」によって、初めて紹介されました。

しかし、初めての温泉旅館ができたのは明治41年のことです。

現在はホテル・旅館・土産品店が軒をならべ、阿寒観光の中心となっています。

湖畔に湧き出る温泉の泉質は、弱塩類で神経痛やリュウマチなどに効き目があるそうです。

阿寒湖畔の町並みに手軽にたのしめる手湯・足湯・遊び場が出来て人気を呼んでいます。

前田一歩園

この阿寒湖には、周辺の自然を保護するための『前田一歩園財団』が設けられております。

『前田一歩園財団』といいますのは、湖畔の地主だった、前田光子さんが所有していた3800haの自然林と温泉街の所有地を、そっくり提供して設立したものです。

森林の評価額は100億円とも200億円ともいわれ、温泉街も100億円を下らないとか・・・。

そのスケールの大きさとともに、民間人が後世に自然を残そうと財団を設立したこと、いずれも日本初めてのケースです。

それでは、阿寒湖にとって、忘れることの出来ない前田一歩園についてご紹介しましょう。

前田一歩園は明治39年、薩摩藩出身で、農相務次官を務めたこともある、前田正名という方が国から、阿寒湖畔いったいの山林5000haの払い下げをうけ、開拓にあたったことに始まります。

当時、前田正名は、湖畔を見下ろしながらステッキで大きな円を描いて「このあたりにしよう」と、払い下げてもらう土地を決めたという、今では考えられないような、エピソードが残っております。

前田正名は『多くの人が自然の恩恵を将来にわたって享受できるように』という基本精神をもとに、原始林におおわれた阿寒を開発し、山林経営や温泉開発にそそいだ一方、原始林を手つかずの状態で残しました。

『一歩園』の名前は、『一歩一歩堅実に切り開いて行こう』という意味だそうです。

そして、前田正名の精神は『前田家の財産は、すべて公共事業の財産とする』という家訓にもあらわれており、2代目の正次さん、さらに子供がなかったので、3代目光子夫人へと受け継がれました。

光子さんは、昭和58年4月1日、父や夫のこころざしを生かして『前田一歩園財団』を発足させました。

前田光子さんは、地元の人から『阿寒の母』と呼ばれて慕われていましたが、財団のスタートを見届けたあとの4月18日、71歳で亡くなられました。

阿寒の自然は、今後も変わることなく『財団』の手によって守られて、いつまでも美しい阿寒の自然を見せてくれることでしょう。

※前田一歩園財団の事業

1,森林風致確立のための学術調査研究

2,自然保護思想の普及

3,自然保護功労者の表彰

4,自然解説指導員の派遣など

阿寒湖アイヌコタン

アイヌコタンは、36戸・120人が暮らすアイヌコタン(集落)です。

民芸品の製作や販売を営み、長年北海道の代表的なお土産として観光客の方から喜ばれてきました。

特にクマや鳥、人間などを題材にした一流作家による精緻な木彫作品は、独自のアイヌ芸術として世界から高い評価を受けております。

また、伝統ある『アイヌ古式舞踊』は祖先から伝承されてきた貴重な遺産として、北海道唯一の、国の重要無形民俗文化財に指定されております。

新しい文化の創造としては、世界的に有名な口承叙事詩『ユーカラ』を劇化、パリ・ユネスコ本部・香港。台湾など国内外で数多くの公演を行い絶賛されました。

阿寒湖アイヌコタン

阿寒湖アイヌコタンは、前田一歩園財団の3代目園主、前田光子氏が、アイヌの生活を守るため、店や住まいのための土地を無償で提供したことから始まった場所です。

これにより、全道各地のアイヌが集まり、様々なアイヌ文化が持ち込まれました。

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