知床峠・知床横断道路です。【世界遺産・知床】

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知床横断道路

知床峠をこえて半島の東側、知床羅臼までの知床山岳道路です。全長27.3㎞の知床横断道路は、開通するまでに17年間の歳月が費やされました。

といいますのも、ここは11月中旬から翌年の5月~6月頃までは、雪のために工事が出来ず、しかも知床国立公園内ということもあって、たくさんの制約を受け、思うように作業がはかどりませんでした。

とくに、知床羅臼側が難工事で、大きな岩や軟らかい粘土が多く、そのうえ、自然破壊を最小限におさえるため、掘り出した土を捨てるのに、遠くまで運んだり、樹木は少しでも倒さないようにするなど、他では見られない慎重な工事が必要だったからです。

ただいまでは産業道路、また知床観光道路として大切な役割を果たしております。

(工事期間、昭和38年「1963」~昭和55年「1980」)

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環境と自然保護

知床にゆかりの深い俳優森繁久弥さんは、この横断道路の開通を祝って、次のような詩を寄せています。

この道は橇で行った道 この道は山の又山の道 この道は、むかし、なかった道 熊やキツネの通る道

今、この道はシレトクの2つの海をつなぐ文明の道 人はゆき、人はきたり 車はゆき、車はきたり 生きものは山にかくれ 1980年の人間たちのの道 友よ いたずらに、この道をよごさないでおくれ

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知床横断道路の開通でいちばん恐れられていることは、自然の破壊です。

知床半島の東西をむすぶ産業道路として着工したのは昭和38年、知床が国立公園に指定されたのは、その翌年の昭和39年でした。

道路計画がもう1年遅れていたら、あるいは事情が変わっていたのかもしれません。

ともあれ、産業道路ということで、観光的なことは一切カット、工事は環境庁の厳しい規制のもと、できるだけ自然をそこなわないように進められました。

しかし、道路ができますと、何せ有名な知床のこと、心配された、観光公害がいろいろ出てきているようです。

峠付近のハイマツ隊は、ギンザンマシコ・ホシガラスなど、数少ない高山性の鳥たちのすみかであり、また高山植物の宝庫でもあります。

現在知床峠の頂上には仮設のお手洗いがありますが、これは、ことば通り仮のもので、ふもとの登り口に、お手洗いが出来ますと、撤去される事になっています。

環境庁は、トイレはもちろん、展望台の建設も認めておりません。

本当の自然の中でこそ、知床の素晴らしさがあるというわけです。

ギンザンマシコ=オスは鮮紅色、メスは暗緑色、スズメよりちょっと大きい。松科の植物の実を食べる。

ホシガラス=カラスよりはるかに小さく黒色、背、顔、胸、腹には美しい白色の斑点がある。ハイマツなどの実を食べる。

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