『世界遺産』北東北の縄文遺跡群 中空土偶『史跡垣ノ島遺跡』観光案内です。【函館市 旧南茅部町】


世界遺産 World Heritage 史跡垣ノ島遺跡は、紀元前7000年~紀元前1000年(9000年~3000年前)の約6000年間という長期にわたる定住を示す、太平洋をのぞむ段丘上に位置する縄文時代の集落跡です。

その中でも定住開始期の段階ですでに移住域と墓域で構成される集落がつくられていたことがわかっています。

さらに国内最大級の盛り土遺構や、墓に副葬された足形付土版など、当時の高い技術や精神性を示す貴重な遺構や遺物が数多く見つかっており、2011年に国の史跡に指定されました。

縄文の地形をいまでも実感できる垣ノ島遺跡で、縄文のこころを感じてみませんか。

※2021年7月に、「北海道・北東北の縄文遺跡群」の構成資産のひとつとして、世界遺産に登録されました。

所在地:函館市臼尻町416-4(管理棟)

共用時間:4月~10月 9:00~17:00

     11月~3月 9:00~16:00

休日:12月29日~1月3日

利用料:無料

アクセス:バス「垣ノ島遺跡下」下車 徒歩5分

駐車場:無料駐車場あり(縄文文化交流センター共用)

お問合せ:函館市縄文文化交流センター

電話番号:(0138)25-2030

※営業時間・営業日等、変更になるおそれあります。 要確認お願い致します。

北海道の縄文文化

【最古の土器と定住】

北海道で最も古い土器は、道東部の大正3遺跡(帯広市)から出土したもので、放射性炭素による年代測定で約14000年前という年代値が得られています。

この土器は乳房状の突起を持つ丸底の形をしており、縄目ではなく、爪形の紋様が施されています。

この形と紋様の特徴は本州の土器に共通していることから、初期の縄文文化においては、北海道東部に至るまで本州とほぼ均一の文化要素が広がっていた可能性を示しています。

北海道ではこの段階の住居跡はまだ見つかっていませんが、列島の各地ですでに竪穴建物が出現していたことが知られています。

エントランス広場

史跡の概要や施設の位置などを記した総合案内板や、史跡全体と周辺地形を示した立体模型、世界遺産を構成する17遺跡の共通サインがある、遺跡見学の起点となる場所です。

史跡名が彫られた標柱の前は撮影スポットのひとつです。

【集落と貝塚の形成】

ヤンガー・ドリアスの寒冷期が去った約9000年前になると、竪穴建物で構成された集落が各地で確認されるようになります。

道東部の八千代A遺跡(帯広市)や道南西部の中野B遺跡(函館市)では多くの竪穴建物跡がまとまって発掘されるなど、すでにこの時期には恒常的な定住地が形成されていたことが分かっています。

その後、6~7千年前に温暖化のピークを迎えると、海水面の上昇と内水面の拡大により漁労が一層発達し、道東部の東釧路貝塚(釧路市)、道南部の北黄金貝塚(伊達市)や入江貝塚(洞爺湖町)のような貝塚を伴う集落が増加し、さらに5500年前頃から大船遺跡(函館市)のように大型の竪穴建物が密集した大規模な集落も形成されるようになります。

貝塚とは食料とした貝殻や動物の骨などが堆積した場所で、当時の食料資源や自然環境が分かるタイムカプセルのようなものです。

墓地としての機能もあり、当時の社会や精神文化を知る貴重な情報の宝庫となっています。

体験広場

学習やものづくりなど雨天時も利用可能な体験棟を備えた、遺跡の発掘調査を模擬体験することができる場所です。

縄文時代の土器や石器を実際に発掘してみませんか。

竪穴建物群

縄文人の定住の証拠である竪穴建物跡が、長い年月を経た今でも埋まりきらずに窪みの状態で確認することができます。

全てを見つけることができれば、あなたも考古学者!?

【地域文化圏の発達】

縄文文化は北海道から沖縄本島まで日本列島全体に広がっていました。

しかし、それは画一的なものではなく、いくつかの地域文化圏に分かれていたことが分かっています。

今日でも日本の各地にはそれぞれ独自の地域文化が認められますが、縄文時代においても使われる縄文土器の形や紋様が異なるなど、一定の広がりがある地域文化圏が形成されていたようです。

北海道は地理的に、北東部はサハリン島や千島列島などを通じて北方世界と接し、南西部は津軽海峡を挟んで本州と向き合っています。

このことから、古来、北海道は北と南の文化が流入し交差する舞台になっていました。

また、森林植生の相違も北海道の縄文文化の発展のあり方に影響を与えたと考えられます。

落葉広葉樹林が広がる南西部には、ほぼ同じ植生をもつ東北地方を中心に発達し、クリの栽培などを伴ういわゆる「円筒土器文化」が6000年ほど前から流入し、津軽海峡の両側に南北約500kmに及ぶ広大な文化圏を形成しました。

これは他の縄文時代の地域文化圏に比べて広域で安定したものであり、先史時代における文化圏内での価値観の交流を示す顕著な事例として注目されます。

ここ旧南茅部町には、たいへん古くから人が住んでいたようで、町の80数ヵ所で遺跡が見つかっています。

その中で、とくに知られているのは、およそ3500年ほど前のものと推定される土偶です。

土偶というのは、信仰や、おまじないに関係があったと考えられる、土のお人形で、エジプト・中国などで発掘されていますし、日本でも、縄文時代に作られていました。

旧南茅部町のものは、高さ41.5cm、肩幅20cmの女性の姿をしていて、これまで、日本で発見された土偶では2番目(山形県西ノ前遺跡・45cm)に大きく、また、漆を塗った形跡もあるなど、この時代のものとしては、たいへんめずらしく、国の重要文化財に指定されております。

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